2025年 11月 08日
パチリスさん |
基本的に元気がない。大事な出来事は、もっと気力と体力があって、頭の中がすっきりしているとき、丁寧に書き留めたい…と思っているけれどそうしている内に時が過ぎ全てを忘れていくのだろう。
人は、思い返すときにこそ、その出来事を真に自分のものとして獲得できるのではないか?
振り返るというのは、時の流れに逆らって網を構える行為だ。
そうしてその網でだけやっと捕まえられる、特別な虫や魚や傷や星屑があるんじゃないか。
みたいなことをこの間考えていた。
でもそれにつけても元気がない。シンクは魚まみれ、脳みそは汚れた皿のことでいっぱいいっぱいって感じだ。
(ちなみに先日オアシスのライブに行ったダンケルク先輩は、普段の豊かな語彙を詰まらせて「尊い……」と5回くらい繰り返していた)
なんでこんなにいっぱいいっぱいなのかというと、ジャグリングの玉のように馴染んできたいつもの呪い、あとシンプルに業務が多いからです。10月、こなした案件が通常の4倍あった。
意識があるんだかないんだかで終電に乗り込み、じっと目をつぶり、パチリスのことを考えていた。
パチリス。
2014年ポケモン・ワールド・チャンピオンシップス決勝に彗星のごとく現れ———どころか流星群を打ち払った伝説のパチリスである。
youtubeのおすすめで偶然流れてきたこの伝説の試合をみてから、パチリスのことが頭から離れない。
人生指折りの大一番、セジュン選手の手持ち6匹として公表されたのは、種族値400台のでんきりすポケモン、場違いにも程があるキューティー、パチリスだった。
基本世界大会なんて種族値500とか600が幅をきかせてるところにだ。
なんでこんなところにパチリスが? マスコットか? 陽動か? 本当に試合に出すのか?
疑問と期待にざわめくオーディエンスを前に満を持して登場。大歓声。
このゆびとまれで相手の攻撃を一手に集めて耐えきる固さ。きのみを食べて回復。
マヒ技のほっぺすりすりでスカーフ持ちバンギラスの良さを完全に封じる確実な仕事ぶり。
隙あらばいかりのまえばで体力ゲージを削りにかかるフィジカル。
砂嵐のフィールドでバンギラスのいわなだれとボーマンダのりゅうせいぐんを受けてもまだ耐えてきのみ食べてる。
終始ちっちゃくて可愛いのに、完全に場をかき回し、仕事をし、バトルを勝負に導いた。
特別な技を覚えさせているわけじゃないのだ。
まあ特攻抜け5Vに性格や特性も厳選を重ねてるんだけれども、それでも、パチリスの枠は出てない。
奇跡的に種族値が600あるパチリスを手に入れたとかいう訳ではない。
パチリスはパチリスらしく、しっぽをふわふわさせながらバトルに臨み。
指を振ってみんなの注目の的になり。電気袋のあるほっぺたをすりすりし。
その前歯で対戦相手をがぶっと噛んでる。
で、持ってたオボンの実をもぐもぐ食べたり、電気技をくらって特性ちくでんで体力回復したり。
パチリスは自分ができることを堅実にやり、誰も見たことがないものを見せたのだ。
最も有名なポケモン勝負のひとつとして未だに語り継がれているのも頷ける。
パチリス。ああパチリスさん。
強くてかわいいとはあなたのことだよ。
10年以上も前のポケモンバトルに完全に心を掴まれている…。
パチリスのことを考えていたら元気が出てきた。
大事なことはもっと元気なときに書き留めて起きたいとかいっていたのに、結局つらつらとパチリスの話をし、最終的に元気になっている。でも何事もそういうところがあるよね。お風呂も入るまでは本当に入りたくないし…。何より、パチリスは私のなかでとても大事な存在だから、これでいいのだ。
#
by imo_mo_chi
| 2025-11-08 23:37

